新型コロナウィルスに感染しているお母さんや濃厚接触者となったお母さんの母乳育児について

WHO

接触や咳を介して子どもに感染させるリスクはありますが、感染性のあるウィルスが母乳に影響されるかどうかは不明であり、母乳の利点を考えれば母乳をやめておいた方がよいということはありません。

日本小児科学会

感染した母の母乳には特異的な免疫物質が含まれるなどの母乳栄養による感染への有利な効果も期待されることもあり、母乳栄養のその他様々な利点を考えると、母乳栄養を一律に中止するべきというわけではありません。

日本母乳の会

搾乳を推進しています。これまで、母乳と感染防御に関しては、母親が何らかの病原体に感染した場合には、抗体が産生され、母乳中へ分泌されることや母乳中は感染防御に有効な生理活性物質が含まれていることが知らされています。

日本産科婦人科学会

母乳を介して新型コロナウィルスが乳児に感染するリスクは低いと考えられています。しかし、母乳中に検出されたという報告もあります。また、授乳時には、接触・飛沫感染のリスクがあります。これらのリスクについてご家族や医療機関の医師等と十分に相談の上、授乳方法や時期をお考え下さい。

赤ちゃんへの授乳方法

A 直接授乳を行う

母乳育児を継続しやすく、母乳栄養による様々なメリットを享受できることが利点です。お母さんが感染者である場合には、新型コロナウィルスに対する抗体を、母乳を介して赤ちゃんに届けることができます。一方、飛沫や接触により伝播する可能性があるため、マスク着用や入念な手指消毒など、適切な感染対策が必要です。

B 搾乳して、感染していない介助者が授乳する

母乳栄養の利点を残しつつ、お母さんと赤ちゃんの接触を最小限にすることで感染のリスクを下げうる方法です。他のご家族の協力が必要です。感染対策が不十分だと、お母さんから介助者へ、さらに赤ちゃんへと感染が広がる可能性があります。

C 人工乳を用い、感染していない介助者が授乳する

母乳を与えない間はお母さんから赤ちゃんへの母乳を介した免疫物質の移行は期待できませんが、お母さんから介助者や赤ちゃんへと感染が広がる可能性を最小限に抑える方法です。しかし、周囲で感染者が増えているようなときには、介助者は何らかの経路で感染し、さらに赤ちゃんにも広がる可能性はあります。治った後に母乳育児を開始、再開するためには人工乳を与えている間も1日8回程度の搾乳を続けておくことが重要です。

☆授乳方法は、個人の症状の程度やご家族のサポート体制によっていろいろな方法があります。自分たちにあった方法を選んでいくことが大切です。当院ではお母さんの意向を大切にしたいと考えています。困ったことがあれば気軽にご相談下さい。